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ねんじゅうぎょうじおぼえがき

年中行事覚書

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《年中行事覚書(ねんじゅうぎょうじおぼえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 135,005 字 · 262 頁

青空文庫

の苦しいにつけても、亡くなった主人の有難さが思い出され、それを頭の上に戴くようにしているのがあのお姿だと、この日に掛けて拝む角大師の姿を、そんな風に説明したりしている。こういうのは多分古来の節供の趣意が不明になり、どうしてこうなのだろうという推測の中から、奇抜なおかしいものがかえってもてはやされたのでもあろうが、なお行事の特色というべき点が、これからでも窺いたしかめられ、それがまたやや広い一致を示すのであった。

暦本の頒布もまだ十分でなかった時代から、掛軸や壁に貼るような絵像だけは、需要があったと見えて遠い田舎までも配られていた。版画の大量生産者などは、信用すべき解説者でなかったのは無論だが、それが売りひろめたお姿というものは、年徳神でも恵比須大黒でも、またはオシラという養蚕の神でも、妙に力強く人心を支配していた。井手の蛙のひぼし哉とも評せられた、いわゆる角大師の像なども、中央では元三大師、良源という名僧の肖像の如く言われたが、奥羽の北端と北九州の一部とでは、これが霜月三夜の神であるが如く、思っていた者が多かったのである。

あるいはまた布袋和尚が多くの子供をつれて、旅をしている図なども、オダイシ様だと言って売られたことがあるらしい。