輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ひがんすぎまで
彼岸過迄
線上閱讀夏目 漱石《彼岸過迄(ひがんすぎまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,333 字 · 385 頁
彼は例刻の五時がとうの昔しに過ぎたのに、妙な酔興を起して、やはり同じ所にぶらついていた自分を仕合せだと思った。その酔興を起させるため、自分の好奇心を釣りに若い女が偶然出て来てくれたのをありがたく思った。さらにその若い女が自分の探す人を、自分よりも倍以上の自信と忍耐をもって、待ち終せたのを幸運の一つに数えた。彼はこのXという男について、田口のために、ある知識を供給する事ができると共に、同じ知識がYという女に関する自分の好奇心を幾分か満足させ得るだろうと信じたからである。
男と女はまるで敬太郎の存在に気がつかなかったと見えて、前後左右に遠慮する気色もなく、なお立ちながら話していた。女は始終微笑を洩らす事をやめなかった。男も時々声を出して笑った。二人が始めて顔を合わした時の挨拶の様子から見ても彼らはけっして疎遠な間柄ではなかった。異性を繋ぎ合わせるようで、その実両方の仲を堰く、慇懃な男女間の礼義は彼らのどちらにも見出す事ができなかった。男は帽子の縁に手をかける面倒さえあえてしなかった。敬太郎はその鍔の下にあるべきはずの大きな黒子を面と向って是非突き留めたかった。