輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ひがんすぎまで
彼岸過迄
線上閱讀夏目 漱石《彼岸過迄(ひがんすぎまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,333 字 · 385 頁
二十一
それは誘った人に対する礼儀として、彼らの取るべき当然の所作だったのだろう。しかしその時の僕にはそう思えなかった。そう思う余地があっても、そうは感ぜられなかった。早く来いという合図をしようという考で振り向いた僕は、合図を止めてまた叔父と歩き出した。そうしてそのまま小坪へ這入る入口の岬の所まで来た。そこは海へ出張った山の裾を、人の通れるだけの狭い幅に削って、ぐるりと向う側へ廻り込まれるようにした坂道であった。叔父は一番高い坂の角まで来てとまった。
二十一
彼は突然彼の体格に相応した大きな声を出して姉妹を呼んだ。自白するが、僕はそれまでに何度も後を振り返って見ようとしたのである。けれども気が咎めると云うのか、自尊心が許さないと云うのか、振り向こうとするごとに、首が猪のように堅くなって後へ回らなかったのである。
見ると二人の姿はまだ一町ほど下にあった。そうしてそのすぐ後に高木と吾一が続いていた。叔父が遠慮のない大きな声を出して、おおいと呼んだ時、姉妹は同時に僕らを見上げたが、千代子はすぐ後にいる高木の方を向いた。すると高木は被っていた麦藁帽を右の手に取って、僕らを目当にしきりに振って見せた。