輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《忘れ残りの記(わすれのこりのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,050 字 · 383 頁
正月の七草すぎか、月の半ば頃だったように思う。早朝にぼくはもう高島町へ来て、売子問屋の店に腰かけていた。余りに早くに来過ぎたせいか、奥ではまだ朝飯中のようであった。
体験を持たない仕事へ践み出す恐さと、さまざまな空想とで、その間じゅう胸がどきどきしていた。やがて奥から五、六人の元気のいい人達が出て来たと思うと、ぼくの姿などには眼もくれず、各※(二の字点、1-2-22)足拵えを急いで、小間物の行商箱を背に負い、さっさと一人ずつ出て行った。ここに寄宿して行商している売子も多いことを初めて知った。
その間には外からも来て、前日預けて帰った行商箱を背負いこみ、そして前の人々のように出て行く売子たちもあった。その誰もが皆、屈強な大人であった。ぼくのような年少者はひとりもない。それがやや不安になった。
結局、ぼくはあと廻しになり、一番さいごまで待たされたわけである。やっと、店の主人が、ぼくの担いで出る荷をそこへ並べて見せた。
行商箱は、太い真田紐を両肩に掛けて、ちょうど笈ずるみたいな恰好に出来ている。上段の幾重かは、印籠ぶたの段箱に作られ、その下は幾重にも、薄い抽斗となっている。