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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

ばあやはもう寝てしまったのか、目にふれなかった。私はその儘黒住の家を抜け出すと、あてもなく夜の道に彷徨い出た。

(人形、ルミ……)

夜は深閑と更けて、彼方の骸骨のような森の梢には、細いいまにも破け落ちそうな月がひっかかり、新聞紙がもののけのように風にのって駛っていた。

(黒住のヤツ、わざわざ俺の目の前で……)

私の網膜には、まだあの縺れ合った恥態が、なまなましく焼きついていた。

「ふ、ふ、ふ……」

フト、ポケットに突込んだ手の先に鍵が触った。

(こいつが、なくなったらあの二人は飢え死だ!)

私は、思い切り遠くへ、その鍵を投棄てた。どこかで、チャリンと音がしたようだ。

「ふ、ふ、ふ……」

私は溜らなく可笑しくなって来た。私は、大手を振って訳のわからぬことを呶鳴りながら歩き続けた。

道はいつのまにか黒い坂道へかかっていた、空気は月光の下で、白い渦を巻いて流れていた。目の前には忽然と巨大な瓦斯タンクが立ちはだかっていた。細い雑木林は、悄々と鳴っていた。月はボロボロと光りの雫を落していた。この世の中の全体が、何かトテモたまらなく、切っぱ詰って来たように思われて来た……。