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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁
(下り坂と急カーヴ)
源吉の右手はカマの焔照りで熱っぽいブレーキを、忙しく廻し始めた。
今まで、速射砲のように、躰に響いていた、レール接目の遊隙の音も、次第に間伸びがして来た。
と同時に、躰は、激しく横に引っ張られるのを感じた。
源吉は、尚も少しずつ、スピードを落しながら、ヘッドライトのひらひらと落ちるレールを睨んだ。蒼白い七十五ポンドレールの脊は弓のように曲っていた。山の出鼻を、廻り切って仕舞うまで前方は、見透しが、利かなかった。
何処かで、ボデーが、ギーッと軋んだ。
『アッ! 畜生ッ!』
(仕舞った!)という感じと、鋭い怒声と、力一杯ブレーキを掛たのは、源吉が、行く手の闇の中に黒く蠢くものを、見つけたのと、同時だった。
だが、十輛の客車を牽引して、相当のスピードを持った、その上、下り坂にある列車は、そう、ぴたんと止まるわけはなかった。
ゴクン、と不味い唾を飲んだ瞬間、その黒いものが、源吉の足の下あたりに触れ、妙に湿り気を含んだ、何んともいえない異様な音……その中には、小楊枝を折るような、気味の悪い音も確にあった。
(轢いた。到頭、轢いちまった――)