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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

彼は、あの山鹿には相当ひどい目にあっていたし、そして又、叔父の田母沢源助からは交際を厳禁されていたのであったけれど、それが却って好奇心ともなって、

(家を見るだけ位ならいいだろう――)

と自分自身に弁解しながら、それに、あの場所にい合せた唯一の知人ともいう気持から、いつか足を早めて、夜道を歩き続けていた。

むくむくと生えた生垣のつづいた路は、まるで天井のないトンネルのように暗かったけれど、空には、恰かも孔だらけの古ブリキ板を、太陽に翳し見たように、妙にチカチカと瞬く星が、一杯にあった。

その星明りの中に、ところどころの別荘の、干物台が聳えたち、そこにはまだ取入れられていない色華やかなモダーンな海水着が、ぺたんこになって、逆立ちをしたり、横になったり、股をひろげたりして、ぶら下っているのが見え、それが、あたりがシーンと静もりかえっているせいか、昼間の華やかさと対照的に、ひどく遣る瀬なく思われるのであった。

……やがて、その生垣の路が、一軒の釣具屋の灯に切られ、橋を渡ると、夜目にも黝く小高い丘が、山鹿の別荘のあるという松林である。

山鹿の別荘は、すぐ解った。