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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁
あの、春日との偶然な宿命的な邂逅を思うと、そんなロマンチックな好奇心が、ついに抑えきれなくなってしまった私は、町の顔見知りを恐れて、バスにも乗らず、わざわざ歩いてその私娼窟へ行って見たのだ。
其処は、町すみの一廓ではあったが、しかし全然別世界のように感じられた。というのは、露地のように細い路が軒下を縦横に通じ、歩く度に、ばたんばたんとドブ板が撥返って、すえたような、一種異様な臭気が、何かしら、胸に沁みいるようにあたりに罩っていたからであった。そして、時々、蒼白いカサカサな皮膚をした若い男が、懐手をしながら、巧みに、ついついと角を曲って行く姿が、ふと蝙蝠のように錯覚されるような四辺であった。
私は、長いこと、矢張り懐手をしてその迷路のような一廓の中を、彷徨い歩いた、胡粉を塗ったような女共の顔が、果物屋の店先きのような匂いを持って曝されていた。
然し、竟いに、春日の姿も、花子という女の姿も発見することは出来なかった。
それは、あとから考えれば、当り前であった、その噂が拡まる頃には、もう春日はその女と、太郎岬の一軒家で同棲していた、というのだから……。