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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

その中、人の噂に、花子が又もとの所で商売に出ている、ということは聞いたが、既に約束したという公演も、疾うに過ぎてしまったのに、更にネネの影も見えぬというのは、一寸待ち呆けのような気もするが、しかしそれと同時に、心の底にはたまらない皮肉な嗤いがこみ上って来るのだ。寧ろ、ネネが春日のところへ来る位なら、一っそ、木島のところにいた方が面白い――。それが私の本心であった。

復讐と同時に、ネネの歓心を購ったと信じ、必ず帰って来ると高言し哄笑した春日の尖った顔が、ざまァ見ろ、とばかり、私の胸の中で快よく罵倒され尽すのだ。

×

――秋もふかまるにつれて、漸く繁くなった帰京を促す手紙に、私もいつかその気になって来た。

久しぶりに、あのねっとりとした都会の空気を吸ってみたくなった。……それから……ネネの其後の消息も尋ねたい……そう思うと、私はすぐに帰京を決心した。

私が、春日にも告げず、帰京したのは、キメの細かい濃密な霧のある日であった。

(もう、こんな気候になったのだ……)

駅のプラットホームを歩きながら、不図そう呟いて仰向いた時、ポンと肩を叩くものがあった。