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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

線上閱讀吉野 作造《憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず(けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 頁

青空文庫

例を以てこれを説くに、今ここに内閣更迭という事件が起ったとする。この場合に後継内閣組織の大任は須らく議会において多数を占むる政党の首領にこれを託せねばならぬという慣例があるとする。この場合にこの慣行は君主の大権を制限するというて批難するのである。何故なれば君主はもはや自由の意志を以て大臣の任命を専行するを得ないからである。しかしながら君主大権の制限なるが故に悪いというならば、即ち君主の自由行動という趣意をこの際文字通りに厳格に貫こうとするならば、君主は事実上何人にも御相談にならず、全然御一人のお考えのみを以て、総理大臣は誰、内務大臣は誰、陸軍大臣は誰という事をお極めになるという事にならなければならぬ。けれどもかくの如きは事実上果たしてあり得るや否や。実際の事例としては君主はこの際必ず君側の二、三老功の臣に御相談になるが普通である。これが二度三度と繰返さるると、結局大臣の任命については必ず元老に御下問になり、その意見によってこれをお極めになるという事になる。かく極まればこれまた君主の大権に対する明白なる一制限ではないか。予の観るところによれば、大臣の任命につき議会の多数党に人を採るのも、元老への御下問によって極めるのも、共に君主の大権に対する事実上の制限たる事は同一であると思う。