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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁

青空文庫

その後、たった一度、若山牧水の詩歌雑誌『創作』に、詩の原稿を送ってくれるよう白秋に頼んだが、翌月掲載されはしたものの三段組の投書仲間にはいっていて、私はブルブル震えて怒った。私はすでに当時生意気にも一人前の詩人になった気でいたが、若山牧水はまるで私なぞもんだいにしていなかったらしい。白秋をたずね三段組の悲哀をうったえたが、白秋はそれだから原稿を他の雑誌に送ることがいやだというのだ、向うには向うの雑誌のなりふりがあるのだからと言い、白秋は不機嫌であった。しかしその翌月号からは二段組になり、一家のあつかいをしてくれたが、白秋が手紙で牧水にそう言ってくれたものであろう。それは白秋だけにたよって他の雑誌に書かないでいるはずなのが、私のとるべき清節であったのに、そういう清潔さを知らなかった私の無礼も咎めずに、わざわざ手紙をかいて二段組にするよう、牧水に言ってくれたことも、なかなか出来ないことである。

数多い引越し先の一つである浅草聖天横丁の、あかるい白秋の家の二階家に私はまた現われた。二階に通されると先客があって、その人は画家の山本鼎であることが判った。