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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《我が愛する詩人の伝記(わがあいするしじんのでんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 頁
私も『椎の木』に毎号書かして貰っていたし、それに短かい物をのせることは愉しかった。萩原朔太郎とは酒席でよく議論をしたものだが、百田と私はいちども喧嘩口論をしたことがない、彼はそういう意地悪もしないし、喧嘩のタネになるような事は言わなかった。君は君流でいいんだよと、さっさと片づけた。そして他人をかげで悪罵することもしない男だ、このへんな紳士は文学上の事に限って人を遣っつけるが、こまかい私事の見解には邪気を見せることをしなかった。やはりこのへんな紳士はどこまでも生まれつきの紳士であり、その紳士の体面で押し通したとしか思われない。
百田に最後に会ったのは、死ぬ三、四年前の秋頃であったろうか、今日は君の家で夕食をたべたいのだが、実は西村茂の家に寄ることに手紙で決めてあるからと言い、夕方、帰って行った。西村茂は彼の旧友で彼はこの無名の詩人と仲が善く、友誼を重んじて同じ大森の西村の家で夕食をとる予定だったのである。私は私の長男や娘のことを話し、彼は彼の一人の長男のことを話しあい、坂の上まで私は送って行った。何故か別れしなにあまり子供はずけずけ叱らない方がいいなと言い、私はうむと答えた。