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せいじがくにゅうもん

政治学入門

矢部 貞治

線上閱讀矢部 貞治《政治学入門(せいじがくにゅうもん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 頁

青空文庫

民族の中にも階級があるというのは事実だが、しかし階級の中にも民族的対立があることも事実である。民族という概念が抽象的だというなら、資本家一般とか労働者一般とかいう概念は、それ以上に抽象的だし、資本家階級そのものの中にも、労働者階級そのものの中にも、無数の対立があることを忘れてはならぬ。

民族も階級もともに否定できない社会的事実で、そのどちらにより大きな価値を認めるかは人々の考えで異なるが、しかしそのいずれの意識がより強いかということは事実によって判定しなければならぬ。そして事実において階級意識よりも民族意識の方が圧倒的に強大なことは、過去の大戦争などで如実に示されている。民族存亡の危機に直面すれば、階級意識は容易に後退する。階級の名においての闘争よりは、民族の名においての闘争の方が、はるかに人間の魂を奮い立たせる。本来は階級至上主義を説くマルクス主義が、レーニン=スターリン主義で民族意識を重視するように修正されねばならなかったのは、そのことを示している。もちろん共産主義で民族がいわれるのは、ただ民族意識を利用するだけのことで、決して民族そのものの独自の価値を認めてのことではないが、しかしその意図が何であろうと、民族意識を否定しようとしても否定できないところに、大きな意味があるのである。