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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・平家物語(しん・へいけものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 頁
放免という名称は、かつて罪人だった者を、逆に、探索役にとりたてて、人の罪を嗅ぎまわらせたところから起こったもので、街の中では、ヘイライさんは愛称だが、ホウメンというと、だれもが、ふるえあがる。
拷問や、叩きは、かれらの、朝飯まえの仕事で、死にいたらしめた例はめずらしくない。そのため、六条堀川の判官屋敷では、毎年、結縁経供養が、行事となっているほどだった。
『どういう間違いか、わからぬが、あの為義の手にかかっては、生やさしいことでは返すまいぞ。……はて、何をしているのか。佐藤義清は』
ひとごとは、やはりひとごとである。待ちあぐね、いいあぐねて、中にはもう眠たげに、居眠るもあり、酒にも飽いて、みな、気抜けしていたころだった。
佐藤義清は、ようやくここに、姿をみせて、
『や、おのおの。御心配をわずらわしたが、これから行って見てまいる。――夜明けまでには、立ち帰るつもりですが、おそくも、還御のお時刻までには戻って、必ず、供奉には加わりますゆえ、余り、お騒ぎくださらぬように』
と、外からいった。
見れば、馬をひき、狩衣すがたで、供といえば、ただひとりの小童に、松明を持たせているだけだった。