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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・平家物語(しん・へいけものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 頁
義清にとっては、むしろ、思いのほかな解決だった。もちろんかれは、義賢とその部下のために、ことばを尽して、詫びをとりなした。
あるいはと、万一な不吉を予期されたそこの門から、佐藤義清は、ともかくも、無事に、危地の郎党を、助け取って帰った。
かれの主人としての愛情を、源五兵衛が、どんなに有難く思ったかは、いうまでもない。夜は寒かったが、主従の心はあたたかだった。
『さすがに、由緒ある者。雑武者の家には見ぬしつけだ』
義清は、心のうちで、為義の人物には、そう感心していた。けれど、半面に、なおおそろしげな予感が、ぬぐい去れなかった。
かれらは、明らかに、臥薪嘗胆している。祖父義家が、かつて、公卿たちから嘗めさせられた生涯の屈辱をわすれていない。要するに、地底の竜だ。つねに風雲をのぞんでいるものであることは、あのきびしさに見るも明瞭である。
洛陽の深夜に、なお悲歌は聞こえず、月は人の眠りとともに、しずかに、雲間に横たわっているが、これが、幾十年もの都の相とは、かれには見えなかった。
平太清盛が、時子と結婚したのは、その年の十二月だった。
『……どうだ。娶うか』