輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・平家物語(しん・へいけものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 頁

青空文庫

つまり、せまい日本のせまい都に、二つの政府があったわけである。

けれど、春三月、都じゅうの柳が芽をふいて、土の匂いまでが革まると、ここが政治の中核とは思えぬような華やぎだった。宴楽の府、流行の府、恋の府――ともいっても、過言ではない。

院の百官は、季節に浮かされて、政務はとみに、なげうたれた。もっとも、春にかぎったことでなく、夏も秋も、冬もだが、今ごろは特にいけないらしい。春なれや――と、何は措いても、歌のひとつも詠み出ないことには、大宮人といわれる知性人の恥みたいな風潮なのだ。

夜来の雨に、陽は、加茂の小石小石の水陰から、東山のいただきまで、いちどに春を盈ちみなぎらした。いま。さくら御門の枝垂れ桜を擦って、大路の一端へ、さんらんと、揺れ出て行く御幸の御車にも、陽炎が立っていた。

供奉、随身の騎者は、おびただしい。なんとも長い列である。御車をひく牛の、のろい歩調に、総ての足なみがつれて行く。

『上皇さまは、お出まし好きでいらっしゃる』

これは、街の定評だった。

『五月も近いので、加茂の下見に行らっしゃるのであろう。諸国の馬が、たくさんに、上ったからの』