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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
それを、翌日となると、信長は令して、三万の大兵に、出動の準備を命じた。
「秀吉の申し条、至極もっとも」
と、評議ではいわなかったが、事実が示しているとおり、彼の言が信長の胸を云いあてたか、信長が彼の策を容れてこの挙に出たか、とにかく、
「このたびの事こそ、援軍とはいえ、織田家の興亡にもかかわる将来のわかれ目――」
と、本腰をすえて、信長自身も出馬ときまったものであった。
岐阜を発したのが十三日。――十四日には全軍すべて岡崎へ着いていた。
信長以下、援軍の全将士は、翌十五日の一日だけ休養して、十六日朝、戦場へ向うことになっていた。
岡崎の城下はそのためにごった返していた。何しろ狭い町に岐阜から来た三万人の将士が宿泊して、戸ごとに馬を繋ぎ、糧食を炊ぎ、酒も飲みするので、町中は沸くような騒ぎである。病人を除く以外、女手まで動員して、その接待に忙殺されていた。
「もう大丈夫。……もう大丈夫じゃ」
家々では老人から女子供まで、眉をひらいて、この忙しさを歓喜していた。
岐阜の援軍が来るとしても、せいぜい、五、六千であろうとは、城中の人々にも予想されていたところである。