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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁
「二十八ヵ国より木材を伐り出し、陸海から運ばせおる」
「要する人夫の数は」
「これや、わからぬ、何万何十万を要するやら。……内濠、外濠を掘るだけでも。三ヵ月、日々六万人を用いても、ざっとであろうと、奉行どもはいうた」
「ははあ」
数正は沈黙した。あきれ顔なのである。また、自国の岡崎城や浜松城と思いくらべて、余りな懸隔に、気の滅入るような顔でもあった。
いったい、石のない大坂に、そんな巨石が思いのまま集まるか否か。この多端な戦国にその厖大な費用をどこから捻出する気か。疑惑を抱けば、いろいろあるし、秀吉の大気も、或いは、大風呂敷の類ではないか、などとも疑われたが、当の秀吉は、その数正を前にして、早や何か急用でも生じたとみえ、祐筆の大村由己を招いて、
「いちいち申すから、それにて書け」
と、書面の文言を、口述し始めているのである。そして恰も、大坂築城のごときは、片手間の閑事に過ぎず、いま祐筆に認めさせている方のことこそ、自己の本領たり、ゆるがせならぬ問題と、数正の在るをすら忘れて、章句を按じ、また首をかしげては、次の文言を、認めさせているのだった。
「…………」