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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁
と、彼の眼を導いて、小牧の丘を指さした。
かつて信長はあのすぐれた戦略的な着眼から、清洲の城を、この小牧へ移そうとさえした所である。標高わずか二百八十余尺という円い一丘陵にすぎないが、尾張の東春日井と丹羽郡の平野に孤立して、四方を俯瞰し、八方へ殺出し得る便があり、尾濃にわたる平野戦ともなれば、ここに一歩の先を取り、中心の一旗を立って、塁をその周囲の要所に配しておけば、西軍の東下にたいして、抜き難い攻防両策の用をなすことはいうまでもない。
そこまでの説明のいとまはなかったが、家康は、指さし、また顧みて、こんどは旗本たちの方へ云った。
「小平太(榊原康政)は、ここより直ちに、人数を分けて、あの小牧一帯の築塁にかかれ。――さしずめ附近の、蟹清水、北外山、宇田津のあたり、途、崖、流れを構えて、柵をもうけ、塹壕を掘ること。――また家忠(松平)や、家信、家員らも、助力して、工は昼夜をわかたず、起き番、寝番、四組にわかれて、できるかぎり早くしておけ」
と、即座に命じて、それからの帰途は、駒の脚さばきも爽やかに、信雄と馬上の談笑を交わしながら清洲へもどった。
二つの世