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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

従来の築城土木の程度なら、天下の智嚢と、奉行人たちの進行でも運ぼうが、秀吉の構想は、それまでの如何なる日本人の創意よりも遥かに雄大で、その都市計画面だけでも、余りに規模が大きすぎて到底、他人の頭では間に合わないのである。

設計者が、いかに思いきった企画のつもりで作成した原案も、秀吉の前に示すと、必ず、

「小さい、小さい。――この十倍に。ここはこの百倍にも」

であった。

大に過ぎるゆえ、小さくとか、縮めよ、とかいわれる例はほとんどなかった。

たとえば。

大天守閣、小天守閣の層楼なども、信長の安土城をも遥かに凌ぐものであったし、また殿館の規模も、当初、設計者の原案は、千八百余坪に、大小約二百余の室数を構図して、

「かくなされれば、天下無比です」

と、規模の大を誇って見せたが――秀吉は一見の後、

「住むには、ちと狭い」

と呟いて、地坪四千六百余坪に拡大し、殿廊客館をあわせて、総部屋数六百二室という途方もない間数に訂正させた。

総じて。

彼の規格眼と、当事者の規模の頭脳とが、甚だしく懸隔していることが、この土木によって明らかになった。

しかし、奉行人や築城当事者の考えるところは、要するに、当時の一般常識の最も高度な創意なのであって、秀吉の企画や構想の方が、独り余りかけ離れすぎていたからであることはいうまでもない。