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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

「ア。あれですか」

「うむ、あれよ」

「あの蝶々を、捕まえて来いと、仰せられますか」

「そうだ」

さすが、子飼からそばにおいて来たやつは、下手な宿の女房よりは、ひとの気もちを読みとるわい、といったような秀吉のうなずき方であった。

市松は、もう馬を、その方へ飛ばしていた。

「――何をしに?」

まだ気づかない人々は、市松の行方を、視線の焦点にしていた。

野末へ、影が、小さくなってゆく――。

やがて、市松は、ぽんと馬の背からとび降りた。

チラと、紅いものが、かれの立ちどまった所に、見える。

その紅いものが、女の帯か、小袖の模様の一部だとわかったのは、市松がその女性をつれて、片手に駒の手づなをひきつつ、だいぶこっちへ近づいて来てからのことだった。

「オオ、殿が、蝶々と仰っしゃったのは、あの小娘のことよな」

ようやく、すべての将士が、こうさとると、列は、にわかに騒めいた。

ここらは、敵にとっても味方にとっても、危険なる、やがての決戦場である。

どうして、かよわい小娘がこんな所を? ……と、あやしみすら超えた好奇心に、たれも眼を燃やしたのもむりではない。

「捕まえて参りました」