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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁
こういう意力と、心理の兵のまえには、不落の堅城も、もののかずではない。
いわんや、城は寡兵。
またたくまに、石垣をよじられ、堀をやぶられ、瓦礫を抛りこまれ、火を放たれ、中天の太陽が、くろ煙にかくれ出すと、城将丹羽氏重は、斬って出て戦死し、城兵のあらかたも、無残、悉く斬り死した。
ただひとり……。
これは、この急を、小牧山の家康へ知らせるため、血路をひらいて、西方へ逃げた一将がある。
氏重の弟、茂次だった。
この短時間の戦闘中。
森武蔵守の第二隊は――第一隊との間に、かなりの距離をおいているので、生牛ヶ原に、兵馬を休め、兵糧をつかっていた。
兵たちは、飯をくいながら、
「何だろう? あの煙は」
と、ながめていたが、すぐ前隊との伝令で、岩崎城の陥落がわかり、笑いどよめいて、馬にも草を飼ったりしていた。
それにならって、第三隊もやはり一定の距離をおいて、金萩ヶ原に兵馬をやすめ、最後方の第四隊も、白山林という地点に馬をとどめて、静かに、前方の隊が、行進し出すのを、待っていた。
春は行き、夏は近い。山間の昼。空の碧はすみとおって、海よりも深い。すこし駐まると、馬は眠げに落ち、山畑の麦には雲雀、木々には、ひよどりの声ばかりが、折々、高かった。