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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁

青空文庫

「おう」

という。

「待たせて気のどく――」

という。そして、拳の中へ咳をしぬく。

仰ぐと、ただ一人なのだ。小姓すら後ろにいない。

四名は、容易に気楽になりきれなかった。こもごも、挨拶する間、秀吉の方は、鼻汁ばかりかんでいた。

「おかぜ気味のように拝されますが」

ようやくにして、三郎兵衛がくだけていう。秀吉もくだけて答えた。

「ことしの風邪はぬけ難うてこまる」

あいそのない招きである。酒肴も顔を見せない。雑談もさして出ない。秀吉はやがて云った。

「三介様(信雄)にも、近頃のような御行状では、困ったものでないか」

四名は、ぎくとした。さてはその叱責かと胸へこたえたのである。老職にある責めをみな思った。

「みなも、骨が折れるだろう」

次のことばは、こうだった。四家老の面には、生色が甦えった。

「…………」

「一かどの者揃いよ。が、三介様の下では、どうにもなるまい。察し入る。……筑前とても、同様、御為に相成るようと、心はくだけど、却って、逆に逆にとなり行く態、心外に思う」

語尾に激気があった。四名は、身の竦みを覚えた。秀吉はなお縷々と衷情を洩らした。具体的にも例を挙げて、信雄に対する不満の意を明かし、帰するところ、