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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

「その手紙、見せてくれぬか。――それとも、人には見せられぬ手紙か」

いうと、寧子は、袂で顔をおおったまま、黙って襟の間からそれを出して、素直に彼の手へ渡した。

藤吉郎はいそいで披いた。

まぎれもない犬千代の筆である。文意は簡単であった。けれど、万言をつくしてある以上、藤吉郎には読めるのであった。

わたくし事にはあらで、やむにやまれぬ儀の候て、さるものを斬り捨て、きょうをかぎり御恩土を立ち退き候なり。ひとたびは、身をもいのちをも、恋にはと思いさだめこそすれ、今はぜひなし、この身にまさる木下蔭こそ、そもじの末もよからめといさぎよう、男と男、云いかため、頼みまいらせて旅立ちもうし候

又右衛門どのへも、この文おしめし、くれぐれお心おさだめあれかし、又の会う日もありやなしや。ひと筆とりいそぎ候ままにあらあらかしく

ねねどのへ

所々、文字は涙にぬれていた。――寧子の涙か、犬千代の涙か。――いや藤吉郎もそれを見ながらぼろぼろ泣いていたのであった。

今か。今か。

鳴海は、戦備えして、清洲のうごきを見ていたが、年は暮れても、信長の攻めて来る気はいはなかった。

「はてな?」