輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

尾張の弱小なことも、国主の貧乏な点も、よく弁えていながらです。他の大国の領民のように、戦乱や明日の生活に脅えておらぬのが、不思議に見えるくらいです」

「……ム、ム。なぜかな」

「信長自身が、そうした気性だからでしょう。曇らば曇れ、照る日もある。今はこうだが、未来はこうぞと、指さす的へ、人心を集めております。というて、陰気にいじけている領民ではありません。例えば、祭の行事などにいたしても……」

と、云いかけて、何思い出したか、甚七は語らぬうちに、苦笑しだした。

「その祭については、実は、失敗ばなしがありますので――」

と、甚七は、清洲城下の祭の夜、巷の中にゆくりなく信長主従の微行を見かけ、むらむらと奇功に駆られたまま、信長を刺そうとして、かえって捕えられて、憂き目に会ったことを、

「……どうもこれは、余り自慢にもならぬことですが」

と、話し終って、頭を掻いた。

元康は、笑いもせず、

「そちらしくもないことをする」

と、軽率を誡めた。

「以後は」

と、甚七は、頭を下げながら、余事までしゃべりすぎたことを後悔した。

そして、ひそかに胸のうちで、ことし二十六歳の信長と、十八歳になる元康とを、較べる気もなく思い較べていた。