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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
若い良人の通有性といったようなものは、元康には微塵も見られなかった。夫人に対して気の練れている扱いは、老成人のようだった。或いは、彼には彼の女性観があって、最も心の裡に置かるべき者を、心の外に置いて視ているのかも知れなかった。
「なんじゃの」
夫人にいわれた通り、彼は夫人の前に坐った。
築山様は、良人が素直であればある程、何か、理由なく焦々して、
「すこし、伺いたいことがあります。あなた様は今し方、どこへお出ましになりましたか。家臣も召されずただお一人で……」
眼に涙をためていう言葉であった。産後の痩せのまだ回復していない容顔に、危険な感情の血がまざまざ逆上っているのである。
元康は、その容態も性質も知っているので、子をあやすように微笑んでいった。
「おう、今し方のことか。……書見していたが疲れたので、河原までぶらりと独り出てみたのじゃ。お許も、稀れに侍女どもを連れて、ちとそこらを徒歩うてみたがよい。……秋草のさかり、昼の月にすだく虫の音、安倍川は今がよい季節」
築山様は皆まで聞いていないのである。白々しいと、良人を責めるように凝視して、いよいよ常のわがままぶりもなく冷然と畏まって、