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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

今川の陣地が見えたのだ。雨に打たれて濡れはためいている幾十の敵の本陣の幕屋がそれ!

眼の下は沢。すぐ彼方は、田楽狭間の丘陵。一跳びの間である。

見ればもうそこへと、味方の甲冑の人影は殺到していた。

槍を、太刀を、長柄を――思い思い引っ提げて、

(身軽が利ぞ)

と、信長からいわれたように、兜は背へ投げ、差物もささず、一筋の槍だけを横たえた者が多かった。

木の間を縫い、芝地の崖を踏み辷りしながら、いちどに敵の幕屋へ攻めかかってゆく人影の上へ、時折、青白い雷光がひらめいて、白い雨、暗い風、まったく晦冥な天地とはなった。

「そらッ、かかるのだッ」

藤吉郎は、そういうと、沢へ駈け下りて、向うの山へ取ッついた。彼の部下は、辷っても転んでも、藤吉郎の側にいた。進んで血戦の中へ駈けこんだというよりも、うろうろしているまに、いつか戦そのものが、藤吉郎の一小隊をも、戦場の中に巻きこんでいたというほうが真実に近かった。

白雨・黒風

義元の帷幕では、雷鳴のしているうちは、むしろ爽快として笑いどよめいていた。烈風が、ふき募って来ても、四方の幕のすそに重石を置かせ、

「これで暑気も一掃した」