輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

「駿河殿よなッ」

喚きつつ、阿修羅のように、槍もろとも、泥水を刎ね上げて突ッかけて来る人間を見ると、

「あッ、織田のッ」

驚愕を革めて、

「織田の奇襲ぞ!」

と、ようやく事態を正しく知ったほどだった。

夜討を襲けられた場合よりも、狼狽はむしろ甚だしかった。信長を見くびっていた点と、白昼であったことと、烈風のため敵を営中に見出すまで、敵の近づく跫音すらも知らずにいたためだった。

いや、それよりも、本営の幕将たちを安心させきっていたものは、味方の前衛にあるともいえる。本陣付の部将松井宗信と井伊直盛の両将は、ここの丘を距ることわずか十町ほど先の地点に屯して、主陣護衛の約束どおり千五百ばかりの兵で、きびしく固めていたはずなのである。

その外陣の衛星から、

(敵、来る)

とも、

(敵、近づく)

とも、何の合図もないまに、義元以下、営中の幕僚たちは、いきなり獅子奮迅の敵影を、眼のまえに見たのである。内乱か、謀叛か、と、疑ったのも無理な狼狽ではなかった。

信長はもとより、前衛部隊のいるような地点には出なかった。太子ヶ嶽を縦横して、いきなり田楽狭間の直前へ駈けあらわれ、鬨の声をあげた時は、もう信長自身でさえ、槍をふるって、義元の幕下の士と、戦っていた。