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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
この方は、お使番中川金右衛門」
と、いった。
「浅野又右衛門の手の者。足軽三十人組の木下隊でござる」
口へ手をかざして、大きくいう。
すると、中川金右衛門は、崖の小道を駈け降りて来て、
「足軽の木下隊か。御本陣その他皆、この先の間米山へ移っておられる。浅野殿もそれへ引き揚げられた筈。はやく、そこへ急がれい」
「忝い。――して御合戦のもようは」
「もとよりお味方の大捷。今の勝鬨をお聞きなかったか」
「多分――とは存じたれど」
「すでに、駿河勢は、総くずれとなり、義元殿のお首級も、味方の手にあがりたれば、この上の長追いは無用とのお下知。――全軍ひとまず間米山の御陣地の下へあつまれとの御命令である」
お使番の中川金右衛門は、そう伝えると、すぐ先へ急ぎかけたが、またふり返って、
「これより西の山間には、まだ他に、迷れた味方がおったであろうか。――長追いして、帰らぬ味方を見なかったか」
と、訊ねた。
藤吉郎が、遠方から、
「ない。ない」
首を振って見せると、金右衛門は方角をかえて、他の道へ、味方の迷子を探しに駈けて行った。
間米山は、田楽狭間の少し先、大沢村のうちの小部落にあった。