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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
大高には、三河の松平元康が、義元の先鋒として働いていた。織田砦の鷲津、丸根を攻め墜した手際から見て、信長は、最も油断のならぬ敵として、重視していたからである。
「義元戦死と聞え、大高の陣中も、一時は騒然とあわてた気配にござりましたが、数度、物見が出た様子で、程なく、事実と知ると、やがてひそまり返り、三河へ引き揚げの準備にかかりましたれば、無謀な戦意はなしと見届けました。三河勢の退去は、恐らく夜を待って行われるかと存じます」
以上の報告を聞き、なお、鳴海に残っている敵の岡部元信の動静をも確かめた上、信長は、
「いで、帰らん」
と、凱旋を宣した。
まだ陽は落ちていなかった。いちど薄れた虹がまた濃く立つ。彼の騎の鞍側には、首一つ、みやげに結いつけられてあった。いうまでもなく、今川治部大輔義元の首級である。
熱田の宮の社前へかかると、信長はひらりと下馬して、
「神前へ御報告な仕ろう」
と、宝前へすすんだ。
凱旋の将士もすべて、宮の中門まで詰めて、黒々と大地に額いた。
遠く、振鈴がひびいた。
宮の森は、篝火で赤くいぶされた。霧とけむりの上に、宵月があった。
信長は、一領の神馬を、宮のお厩に献上して、