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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

実は先頃、彼から母へ、再三手紙を出してある。

その返辞であった。

藤吉郎からいってやったことというのは、自身が小屋敷の一つも持つ身になったことを報じて、同時に、ぜひ母上にも、中村を引き払って、自分の家へ移ってもらいたいという希望であった。

まだ三十貫の小身なので、と申しても、大した御孝養はできませぬが、もう衣食の御不自由はおかけいたしません。

奉公人も、ふたり三人はいるので、永い間、土に荒れたお手で、再び、貧乏屋敷の水仕事をおさせするようなこともないつもりです。

姉の於つみにも、ふさわしい婿でもさがしてやりましょう。酒飲みの養父にも、少しはうまい酒も飲ませて上げられるでしょう。私も近頃は、少しは飲ける口でもあり、一家そろって、以前の貧苦を語り草に、晩の御膳でもいただいたら、どんなに愉悦かわかりません。

ぜひ、そういうことに、おきめ下さいまし。

――と、そんなふうに、先頃便りしておいたのであった。

ところが、今来た母のてがみには、

清洲へ移れとの、お許のことば、なんぼう欣しくぞんぜられ候も、稗粟に困らぬほどの、こん日の暮しも、お許のはたらき、また殿さまの御恩ぞかし。