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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

犬千代どのから、因幡守様へ――。寧子と藤吉郎どのとを媒わせてと、お頼みなされたというのでござりますか」

「何でも先頃、殿様がお微行で京へ上られた道中で、はなしのあったことらしい。――で、信長様のお耳にも、ちらと、入ったのではあるまいかと思う」

「ま。……勿体ない」

「寔に、畏れ多いことだ。旅の徒然などのひまに、犬千代、藤吉郎などが、君前において、あけすけに寧子のことどもをお物語いたしたらしい。その果てに、然らば、因幡が仲立ちして、藤吉郎が望みをかなえてとらせよ、とお声があったものと察しられる」

「では、犬千代どのも、ご承知のうえで」

「その犬千代が、その後も、因幡守様の許へみえて、ぜひお骨折りをと頼んだということゆえ、もうその方の憂いはさらさらない」

「それでは、きょうは因幡守様に、はっきりお答えしておいでられましたか」

「む。何分、おねがい申しますると、いうてもどった」

又右衛門は、これで内々の心配が、からりと霽れたように、胸をそらした。妻のこひも、

「ご安心でございましょうが」

と、良人の歓びを共によろこんだ。

すこし離れた板屋の小間では、寧子がきょうも針を運んでいた。