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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「うむ。……うむ」

小六は、いずれへも一様に、一瞥を与えながら、広間へ来て、円座の上へどかと坐った。

――機嫌が悪い?

短檠の明りが、明らかに、小六の顔の筋を、横から照らしている。

白湯。それから茶、黒豆の菓子など、そこへ次々に持ち運ぶ女達も、恟々として、気をつけていた。

「大炊」

とやがていう。

四名の端にいた稲田大炊助を振り向いてである。

「はあ」

「いい恥をかいたな。今夜の招きでは」

「……さればで!」

と、四人とも、苦りきる。

小六の不機嫌は、やり場がなかった。

「内匠。半之丞。――おぬしらの考えはどうだ?」

「どうと仰せられるのは」

「こよいの恥をだ! ――蜂須賀の一族として雪がずばなるまいが」

四人はまた、沈黙にふさぐ。

蒸暑い夜だ。そよ風もない。蚊やりの煙が、徒らに眼に沁みて立ち迷う。

事情はこうだ。

今日。

織田一家のさる大身から、茶事の招きをうけた。小六は元より、そういう趣味は全くない。だが、同席の客は、この尾張ではみな歴々な人物なので、顔つなぎにもよい折だし、また欠席したがため、

(土豪といえば、ていはよいが、いわば野武士の頭目。茶の招きには恐れたのだろう)