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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

そして、

(だめだ!)

と死を観念したか、がくりと天蔵が首を垂れたと思うと、

「大炊」

と、小六は鉄砲から眼を逸して、うしろに控えている彼を呼んだ。

「――関金を引いても、弾が出ないぞ。どこかこの鉄砲にはまだ狂いがあるらしい。ちょっと小屋へ走って行って、鍛冶の国吉を呼んで来い」

鍛冶の国吉は、小屋からすぐ飛んで来た。

小六は鉄砲を示して、

「今、撃ち試してみたが、どこかまだ、不出来な箇所があろう。弾が飛ばぬのだ。すぐ直せ」

と、いった。

国吉は、検めて、

「すぐには直りかねまする」

「いつまで」

「夕刻ごろまでは」

「もっと早くいたせ、試しにかける生き物が、待っておるのだ」

「えッ?」

国吉は、そういわれて初めて、木へ縛しつけられている渡辺天蔵が、的に立っているのに気づいて、

「……あッ、甥御様を」

「余事を申すな」

と、小六は耳を逸らして、

「そちは鉄砲鍛冶。一日も早く、ただ鉄砲の製作に成功するよう、精念すればよいのだ。――この一挺は、そちに取っても、それが成就するか否かの、大事な試作であろうが」

「はい……」

「悪人とはいえ、天蔵も身内の一人、犬死さすより、せめて鉄砲の試しにでも、役立たせてやれば、幾分でも世の多足になろう。