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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「何しに来たのだ」

「それは分りません。おらはただ、ここへ案内しろといわれただけなんで……」

「で、案内して来たわけか」

「仕方がございませんから」

「ちぇッ」

「ああ。――まだ風がひとい」

日吉と。

一方は七内と。

そう二人が問答を交わしている間、周りの仲間は、唾をのんで聞いていたが、七内が最後に、ちぇッと舌打ちして口を結んだのをきっかけに、

「どこにいる。その十兵衛とかは――」

と、急に脚を動かし、七内一人で会うのは危険だから、われわれも共に行こう。いや、七内殿と十兵衛と会っている周囲を、蔭にかくれて、遠巻きに警戒していよう。――などと口々にざわめき立った。

――すると、後ろで、

「あいや、蜂須賀衆。人目にふれてはなるまい。十兵衛からこれへ参った。七内殿にお目にかかろう」

と、いった者がある。

驚いて、振り向くと、それは問わでも知れている人影だった。いつの間にか、十兵衛は近くに来て、その静かな眼で、ここの物々しい動揺を見ていたのである。

「あ、……おぬしが」

七内は、やや慌て気味だったが、一同の頭に立つ者として、ずんぐりした体に、草鞋裁付を着けた身装を前へ進めた。