輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「ウウム。良い脚だ。あの鹿毛は……」

信長は、自分の敗因が、ただ鹿毛の脚にあるものと思って、独り唸いていた。

鹿毛と卯月とが、烈しい脚を競合って駈けたのを、遠くから眺めていた家臣たちは、やがて敗れた信長が、途中で駒から降りてしまったのを見ると、

「やっ、五郎左に抜かれて、御気色を損じたに違いないぞ」

と、後の不機嫌を案じながら、あわてて此方へ駈け集まって来た。――と、誰よりも早く、信長に近づいて、茫然としている信長の前へ、

「お水を。……お水を一口」

と、ひざまずいて、塗柄杓をさし出した小者があった。

それは先頃、御小人組の中から選ばれて、信長の草履をつかむ小者にまで昇格した藤吉郎であった。

草履取といっても、数多い御小人組のうちから、主君の足もとまで、身近く出られる身になったことは、破格な立身で、わずかな月日に、そこまで来た藤吉郎は、身を粉にして、現在の小者の職務に忠勤と誠意を打ちこんでいた。

――が、主人の眼というものは、常に見ているようで、そのくせ、一つや二つの気働きぐらいでは、眼もくれる風も見せない。

今も、信長は、藤吉郎が誰よりも先に駈けつけ、吩咐けられぬ先に、