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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

――何か、高声で、お供衆と笑っておいでなされました。ともあれ、お早くお出迎えを」

「これこれ。真か」

「はッ、はッ」

「信長公が、お越しあそばしたというのか」

「御意にござります」

「すりゃ大変じゃ」

佐渡守は、なぜということもなく狼狽した。顔いろまで、さっと変った。

「弟、……何事じゃろう」

「ともあれ、お迎えした上で」

「そうだ。早く来い」

大廊下を、急いで行くと、もう玄関の方から、活溌な足踏みを踏み鳴らして、信長は通って来るのだった。

「……はッ。これは」

林兄弟は、彼の前を避けて、ひたと廊下に平伏した。

「やあ、佐渡。美作も達者か。守山までと思うたが、どうせのことなら、先に茶のある那古屋にせいと、遠乗りの目当てに駈け参った。――辞儀など、重々しゅう、飾らずともよい。早く、茶を出せ、茶を出せ」

云いすてると、勝手を知った本丸の第一の間の上段に坐り、後から息を喘いて追いついて来た家臣たちを顧み、

「暑いのう。暑い暑い」

と、駄々っ子のような扇使いして、襟に風を入れていた。

茶を。菓子を。

お褥を――

と、出す物も、後や前に、城内の者は、慌て合う。

何しろ不意過ぎる。