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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

……お父様からも、お礼を申しあげて下さいませ」

「ふーむ」

と、又右衛門は、娘の顔と、藤吉郎の顔を見くらべて、

「いや、男親という者は、恐そうな眼ばかりしていて、存外、迂闊なものよの。……知らなかったわい。……よく、猿殿は抜け目がないぞ、という噂は聞いていたが、まさか、わが娘にお目が止まっていようとは思わなかった。――あはははは」

「いや、どうも」

藤吉郎は、大きく後ろへ手をまわして、頭を掻いた。

非常なてれ方だった。

しかし、苦労人の浅野又右衛門が、笑ってくれたので、いささか救われた顔だったが、それにしても、真っ赤になった顔はなかなかさめなかった。

事実。

寧子の方では、どう思っているか知らないが、先の意志にかかわらず、藤吉郎は、寧子が好きだった。

――で、中村の母と共にいる姉の所へ、時折、帯や反物など求めて届けてやるついでに、寧子の許へも、身に過ぎた京染だの、堺織の錦などを奮発して、届けておくことも忘れなかった。