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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「もし……お食事の支度ができましたが」

と、襖をあけて、良人を呼んだ。

見ると、良人の弾正は、日吉を相手に、腕角力を取っているのだ。日吉は顔を真っ赤にして、蜂のように尻を立てているし、弾正も子どもみたいにそれに応じていた。

「……あなた」

「飯か」

「汁が冷えますから」

「待て。……いや、おまえ先に独りで喰べてしまえ。この小僧、すぐ本気になるからおもしろい。はははは、どうもおかしな奴だぞ」

と、夢中である。

日吉の天真爛漫に、弾正はひき込まれている姿だった。馴れやすい日吉はもうこの叔父さんを手玉に取って遊ばせていた。指人形だの物真似だの、子ども仲間でする遊戯を、次々にやって、弾正に腹をかかえて笑わせた。

翌日、清洲城へ立つ時、弾正は鬱いでいる妻へ云い残した。

「親どもが承知なら、屋敷へ置いて養ってくれてはどうだ。物の役には立つまいが、ほんものの猿を飼うよりは増しだろう」

――だが、おえつは欣ばなかった。枝折戸まで、良人を送り出しながら、

「……いえ、やはり中村の姉へ帰しましょう。もしお姑様などへ、粗相があるといけませんから」

「それやあ、どっちでも、其女のいいようにするがよいが」