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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「眼がまわって、仆れそうになったんで」

「どうして」

「腹が減っちまって、やっと歩いて来たもんだから」

「なんだ、腹が減ったぐらい。帰って来たら、すぐ主人に帰りましたとなぜ挨拶に来ない」

「足を洗ってから」

「言い訳するな。そのうえ今勝手元の者に聞いたら、清洲のお屋敷先へ届ける陶器を、途中でたくさん欠いたというじゃないか」

「ええ」

「正直に詫びようともせず、わしへ何と嘘をいったらいいだろうと、勝手の衆へ、げらげら笑いながら訊いていたろう。今夜は、堪忍しないぞ、やい」

於福は、日吉の耳たぶを引張って、歩き出しながら、

「さ。来い」

「御免なさい」

「くせになる。うんと糺明してやるから来い。お父さんのところへ来い」

「かにん、かにん」

於福は手を離さない。井戸端にいた二、三人の雇人も、日吉の謝る声が猿の啼き声そっくりだといって見送っている。

父の捨次郎へ告げ口する気であろう。広い家の横を廻って行った。倉の前から庭口へと行く道は孟宗竹が茂っていて、裏からも母屋からも見通せなかった。

そこまで来ると、日吉はふいに踏み止まって、

「やいッ」

と、於福の手を払い、また、

「やいッ」