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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《新潮記(しんちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 頁

青空文庫

どなりつけるような久木に対して、秀之進はかたく口をつぐんだまま眼もあげなかった、久木はたたみかけるように、「武士が刀を抜くというのは冗談ごとではない、斬る斬られるは別としても、性根は真剣でぬきさしならぬものの筈だ、貴公の態度は人をばかにしている、士道を軽蔑したものだと思うがどうだ」

その席には東湖のほかにもう一人いた。ゆうべ小四郎が「若狭から来た客」といっていた男と思われる、色の黒い眼のするどい、面長の顔つきで、さっきから久木と秀之進の問答を聞いていたが、そのときいかにも黙っていられないという調子で、「そうだ、それはたしかだ」と久木の言葉尻について、ぎろりと秀之進を睨みながら云った。

「世間にはよくそういう思わせぶりなことをする者がいる、勝を譲って、実は自分の勝ってることをあとで相手に思い知らせるというような……津軽の方言ではそういうのを半可臭いというが、武士にはそんな」

「おい久木、もうよせ」東湖は客の言葉を無視して、面倒臭そうに遮った、「そんな詰らぬことを諄々となんだ、勝ち負けがうろんならやり直せばいいじゃないか、おまえにも似合わんぞ」

「いいですとも、相手さえ承知ならいつでもやり直しますよ」