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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《新潮記(しんちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 頁

青空文庫

四

「有ゆる日本人はなにもかも捨てて、この新しい潮の方向を不動にするための、努力と責任を負わなければならない、為すべき事はその一つだ、そこから凡てが創まるんだ」

秀之進はこう呟きながら、照りはじめた月の道を大股に歩いていった。

四

「お帰りでございます」

藤尾が手燭を持って、こう云いながら上って来た。大助はとびあがるように立って迎えた。秀之進は刀を右手に持って、夜露にでも濡れたのであろう、片手で髪を撫でながらはいって来た。

「どうしたんです、ばかにおそかったじゃありませんか、なにかあったんですか」

「妙な事に立会ってね」秀之進は興もないという風に脇を向いた、「……風呂を貰えるかしら」

「いいでしょう、ぬるかったら焚かせます」

「焚くことはない、汗を流せばいいんだ」

わたくしがみましょうと云って、藤尾の立ってゆく後から秀之進も下りていった。……大助は二人の姿を見送りながら、これでいい、と独りそっと頷くのだった。実はその日、大助は藤尾を呼んで秀之進の意を伝えたのである。秀之進は自分で云うといったが、かれにはどうしても旨く纒まるとは思えなかったから、……しかし案外にも藤尾は拒絶しなかった。