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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《新潮記(しんちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 頁

青空文庫

「暴挙はいかんと、くれぐれもそう戒めて置いたに」

左近はそう云いながら、しかしそこにはもう堰き止めることのできない、時代の流れのはげしさを認めざるを得なかった。

「それで、かれらは本当にやる決心か」

「柳、松崎らが中心になり、武器軍資は太橋の調達で、秋十月には決行ときまっていたようでございます、……しかし、信濃で問題が起こったとしますと、あるいは齟齬を来たすかもわかりません」

「齟齬を来たしてもよい、秀はここで殺したくない男だ、こんな事で殺すには惜しい人間だ、高松へ戻れるであろうか」

「大阪の奉行から追捕がまいるようでは、それもおぼつかのう存じまするが」

「その出来事に大助は関わっていないのか」

「その点はまるで相わかりません」

「よし……秀は太橋の店を知っておる筈だ、大阪と堺の店へ余から舟の支度を命じて置こう、亀阜荘の御用舟なれば、うまく渡ることができるかも知れぬ」

「忝のうござります」

宗兵衛は心うたれたように平伏した。左近はそのようすをみて、なにやら気づいたらしく苦笑をもらしながら云った。

「そのほう、余の法華執心をだいぶ悪く申しておるそうだが、どんなものか見たいとは思わないか」