輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《新潮記(しんちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 頁
尾州領へはいらなかったこと、宮から鳥羽へ渡り、船でじかに大阪へはいったことが、幕府の追捕の手を巧みにのがれる結果となったのであろう、それから太橋屋と連絡をとると、大助はすでに高松へ帰ったあとで、四五日すれば荷船が出るという、秀之進はさらに大事をとり、その船便で大助とうち合せをしたうえ、こんどの船でようやく高松へ帰ったのだった。
江戸を出るときのもくろみはすべて手違いになった。尾州家の売買停止令で、木曽駒の買付けはできなくなり、鉄砲鋳工所への手掛りしかつかなかった。そのうえ信濃での出来事から、秀之進とその背後関係がにわかに幕吏の注目を惹いて、太橋屋の大阪の倉庫さえ、いつ捜査にふみ込まれるかわからぬ状態となった。それで積込んであった銑鉄、鉛の類を、急遽高松へ移すことになったのだ。
「まあとにかくこれじゃあしようがない、当分のあいだ日和を見るんですね、いかに成敗を度外にするからといって、このありさまでは指一本動かせやしませんから」
「……おれはでかけるよ」
秀之進は再び夜具の中へ身を横たえながら云った。
「でかけるって、何処へです」
「京都へさ、亀阜荘さまはかねて堂上がたと御連繋をもっておいでなさる、おれはその地固めをするつもりだ、江戸へも、またもういちど水戸へもゆきたい、身にかなうことならなんでもするよ」