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ほしのくんのにるいだ

新版・星野くんの二塁打

吉田 甲子太郎

線上閱讀吉田 甲子太郎《新版・星野くんの二塁打(ほしのくんのにるいだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 10,945 字 · 22 頁

青空文庫

星野くんの二塁打

一

一

当たりそこないの飛球が、ふらふらと遊撃手の頭上をこえていった。左翼手が、もうれつないきおいでつっこんできた。だが、球は、その一メートルばかりまえにポトリと落ちた。

R町の応援団は、「わあっ。」と、わきたった。

まったく、ひろいもののヒットである。

R町の少年野球団、Rクラブは、一回に一点、二回に一点を入れて、二点の勝ちこしのまま、相手の、T市少年野球団、Tクラブを六回まで無得点におさえてきた。ところが、七回の表に、いっきょ、その二点を取りかえされ、同点に追いこまれてしまった。こうなると、Rクラブの選手たちは、追われる者の心ぼそさを感じないわけにはいかない。延長戦に持ちこまれそうな不安をいだきはじめていた。

そこへ、七回のうら、Rクラブの最後の攻撃で、最初の打者、岩田が、安打で一塁に出たのだ。応援団が色めきたったのもむりはない。

よし、ここで一点。その一点で、勝敗がきまるのだ。Rクラブの選手たちの顔は、急に明るくなった。郡内少年野球の選手権大会の、出場チームになることができるかもしれない。

八番打者、投手の星野が、先のほうを四分の一ほど黒くぬった愛用のバットをさげて、バッターボックスへはいろうとした。