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ほしのくんのにるいだ

新版・星野くんの二塁打

吉田 甲子太郎

線上閱讀吉田 甲子太郎《新版・星野くんの二塁打(ほしのくんのにるいだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 10,945 字 · 22 頁

青空文庫

だから、なるべく塁からはなれて、走塁に有利な態勢をとろうとした。

投手は、ランナーのほうにも、じゅうぶん、注意をはらっている。

ランナーは、じりじりと、塁をはなれはじめた。

あっ、少し出すぎた……。バッターボックスにいる星野がそう思うのと同時に、投手は一塁へ矢のような球を送った。あぶない。岩田は、すなけむりをあげて、塁へすべりこんだ。

塁しんは、手のひらを下にして、両手をひろげている。セーフ! あぶなく助かったのだった。一塁のコーチャーが、大声でランナーに何かいっている。

岩田のはりきった動作を見ているうちに、星野の打ちたい気持ちが、また、むくむくと頭をもたげてきた。

――打てる。

きっと打てる。

確実にヒットが打てさえすれば、むりにバントをするにはおよばない。

かれは、しせいを少しかえた。心もち、またを大きく開いて、左足を、ちょっとまえへ出した。とたんに、投手が第一球を投げこんできた。予想どおりのつりだま。しかし、星野のもっともすきな近めの高い直球……。

星野は、大きくふった。

当たった……。バットのまん中に当たったボールは、ぐうんとのびて、二塁と遊撃の間をぬくあざやかなヒットになった。