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ほしのくんのにるいだ

新版・星野くんの二塁打

吉田 甲子太郎

線上閱讀吉田 甲子太郎《新版・星野くんの二塁打(ほしのくんのにるいだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 10,945 字 · 22 頁

青空文庫

そのとき、別府さんは、ひざの上のバットをコツンと地面においた。そして、ななめ右まえにすわっている星野の顔を、正面から見た。

「まわりくどいいい方はよそう。ぼくは、きのうの星野くんの二塁打が気にいらないのだ。バントで岩田くんを二塁へ送る。これがあのとき、チームできめた作戦だった。星野くんは不服らしかったが、とにかく、それをしょうちしたのだ。いったん、しょうちしておきながら、かってに打撃に出た。小さくいえば、ぼくとのやくそくをやぶり、大きくいえば、チームの統制をみだしたことになる。」

「だけど、二塁打を打って、Rクラブをすくったんですから。」

と、岩田がたすけぶねを出した。

「いや、いくら結果がよかったからといって、統制をやぶったことに変わりはないのだ。……いいか、みんな、野球は、ただ、勝てばいいのじゃないんだよ。健康なからだをつくると同時に、団体競技として、協同の精神をやしなうためのものなのだ。ぎせいの精神のわからない人間は、社会へ出たって、社会を益することはできない。」

別府さんの口調が熱してきて、そのほおが赤くなるにつれて、星野仁一の顔からは、血の気がひいていった。