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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

試演は歌舞伎座で催すのだが、沢山の人を集めた和楽オーケストラなので、広い場所でなくっては稽古が出来ない。この丸五の二階で、幾日も幾日も、みんながお弁当を食べた。

主として箏をもって、この歌劇風の「空華」の気分を出そうという最初の試みなので、作曲者の鈴木鼓村氏は、私の母がいる箱根へいって、頭を冷し、気分を統一して、そして漸く出来あがったのだった。

それを創意のまま鼓村さんが弾くのを、受取ってくれるのが浜子であった。彼女は、一度聴いていて、膝の上で右の薬指を軽く打っているが、直に正確な譜にうつした。鼓村さんは弾いてしまうと、その次には、例の、気分によって弾奏の手がちがうのだった。

末の方へいって伴奏に三味線がはいるのを、長唄研精会の稀音家和三郎が引きうけていた。少壮気鋭だった三味線楽家は、この試みが愉快でならないのだが、そんなふうで、鼓村さんとは合せるたびに、ぴったりしていたのがそう行かなくなる。

箏の方の弾手も多い。長唄三味線の方も多い。歌は、音蔵という立唄いの人の妹で、おかねちゃんという、それは実に好い声の娘と――その人は惜しくも亡くなったが――その姉さんとが主であった。