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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
そのまた祇園の歌妓、舞妓は、祇園という名の見識をもたせて、諸事鷹揚に、歌舞の技業と女のたしなみとを、幼少から仕込むのだった。
縫いの振袖に、だらりに結びさげた金襴の帯、三条四条の大橋を通る舞妓姿は、誰が家の姫君かと見とれさせるばかりだった。そうした舞妓時代を経ないものは、祇園の廓内でも好い位置を保てないのが不文の規則なのだ。出入りのお茶やにも格があったのだ。
十九のお雪に、小野亭の仲居がささやいた。
「あんたを、あの外国人が、ぜひ梅が枝に連れて来ておくれと言うてなさるが――」
梅が枝は円山温泉の宿だった。
「モルガンさんいうて、米国の百万長者さんの、一族の息子さんやそうな。」
日本の春を見に来たモルガンは、沢文旅館の滞在客で金びらをきっていた。
二
金持ちや美男に、片恋や失恋などがありましょうかと、簡単にかたづけられてしまいそうだが、恋というものの不思議さは、そこだといえないでもない。
およそ、見るほどのものを陶然とさせ、言い寄られた女性たちは、光栄とも忝じけなしとも、なんともかとも有難く感じ奉ったあの『源氏物語』の御大将、光る源氏の君の美貌権勢をもってしても、靡かなかった女があったと、紫式部が、当時の生活描写を仔細にとり入れて書いた作さえある我国である。