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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
その日はそれで帰ったが、五日ほどたつと、泡鳴は二度目の訪問をした。その日は清子の父親が来あわせていたので、
「明日、も一度会見したい。実は、重大な御相談があるのだが。」
と言って帰っていった。翌日は、ちゃんとやって来て、こんどは家庭の事情を告白した。
――妻とは名義だけであって、物質の補助をしてやるだけだから――
「三年以上も絶縁しているのだが、妻の同意がないので、正式の離婚が出来ないでいるだけだ。」
だから、気にかけないで清子に同棲してほしい、同時に結婚もしてくれと申込んだ。
午後二時ごろ、お昼飯をたべに、麻布の竜土軒へ行き、清子は井目をおいて、泡鳴と碁を二回かこんだが、二度とも清子が敗けた。そのあとを、二時間ばかり、泡鳴が玉突きをするのを見物していたが、こうした友人づきあいが、すっかり打解けた気分にはいりこめたものと見えて、幽霊坂の上でわかれる時には、引っこしの話までまとまって、新らしく家を借りる金を十五円泡鳴は清子に渡した。
「愛のない結婚なんて、自身を辱しめることだし、男を欺く罪悪だ。」
と清子は結婚は拒絶したが、一家に同棲して見るのは承知した。